― 技術・人文知識・国際業務から特定技能1号(介護)への見直しが不可避な理由 ―
介護業界では慢性的な人手不足を背景に、外国人材の採用が年々増加しています。
一方で近年、「技術・人文知識・国際業務(以下、技人国)」で雇用している外国人介護職員について、在留資格と実際の業務内容との乖離が問題となるケースが急増しています。
更新不許可、在留期間短縮、調査対応――
これらは決して一部の事業者だけの話ではありません。
本記事では、介護業界に特有の実態を踏まえ、なぜ特定技能1号(介護)への見直しが重要なのか、そして事業者が取るべき対応策を解説します。
なぜ介護業界で「技人国」が問題になりやすいのか
技人国は、本来
- 専門的知識を活かした業務
- 思考力・企画力・分析力を要する業務
を前提とした在留資格です。
しかし介護現場では、次のような実態が少なくありません。
- 食事介助・入浴介助・排泄介助などの直接介護が業務の大半
- 日本人の介護職員と同一シフト・同一業務
- 「介護計画作成補助」「業務改善担当」として申請しているが、実態は現場中心
入管は、**資格名ではなく「何をしているか」**を見ます。
学歴や肩書きだけでは、更新時の判断材料にはなりません。
【実例①】技人国で採用した介護職員が更新不安に直面
ある介護施設では、海外大学卒業の外国人を
「介護業務管理スタッフ」として技人国で採用していました。
しかし実際の業務は、
- フロア配置での直接介護
- 夜勤シフトへの常時参加
- 記録・会議業務は一部のみ
更新前の事前相談の段階で、
**「現状の業務内容では技人国の更新は極めて厳しい」**との判断となりました。
事業者が選択した対応
- 在留資格を特定技能1号(介護)へ変更
- 外国人本人に制度の趣旨とリスクを丁寧に説明
- 「介護福祉士取得 → 在留資格『介護』」へのロードマップを提示
結果として、
不許可リスクを回避し、本人も将来像を描ける形で雇用を継続できました。
特定技能1号(介護)は「現場のプロ」を評価する制度
介護分野における特定技能1号は、
単なる人手補充の制度ではありません。
- 介護技能評価試験に合格
- 日本語能力(原則N4以上)をクリア
- 現場で即戦力として期待される人材
つまり、介護現場を支える中核人材として位置づけられています。
にもかかわらず、
「大学卒なのに特定技能は抵抗がある」
という心理的ハードルが存在するのも事実です。
【実例②】特定技能へ切り替え、定着率が改善した施設
別の介護事業者では、
当初から特定技能1号(介護)を前提に外国人を採用しました。
事業者が工夫した点
- 採用時に「現場経験 → リーダー候補」というキャリア説明
- 日本人職員と同じ評価・昇給ルールを適用
- 介護福祉士試験対策の支援(勉強会・費用補助)
結果として、
- 外国人職員の離職率が大幅に低下
- 更新手続きがスムーズ
- 現場の教育負担も軽減
在留資格と業務内容が一致していることが、定着の大きな要因となりました。
介護事業者が今すぐ見直すべき3つのポイント
① 在留資格を「現場実態」から逆算する
肩書きや学歴ではなく、
日常業務の8割が何かを基準に判断する必要があります。
② キャリアパスを明確に示す
- 特定技能1号(最長5年)
- 介護福祉士取得
- 在留資格「介護」への変更
- 長期就労・定着
この流れを最初に示すことで、外国人の不安は大きく軽減されます。
③ 専門家と連携し「事故」を防ぐ
更新不許可は、
外国人本人だけでなく、現場運営そのものに大きな影響を与えます。
採用前・更新前に専門家へ相談することが、
最も確実なリスク管理です。
まとめ:介護業界の外国人雇用は「正直さ」が鍵
介護現場における外国人雇用では、
- 実態と在留資格を一致させること
- 現場業務を正しく評価すること
- 将来像を示すこと
この3点が不可欠です。
特定技能1号(介護)は「妥協」ではなく、
介護という専門職を正しく評価するための制度です。
外国人材を長期的な戦力として迎えるためにも、
在留資格の見直しは避けて通れないテーマと言えるでしょう。
📌 介護事業者の皆様へ
外国人介護職員の在留資格について
「このままで大丈夫だろうか」と感じた時点で、すでに見直しのサインです。
採用前・更新前の早めの確認が、
施設と職員双方を守る最善策となります。

