育成就労制度がスタート――外国人と企業が共に成長する新しい仕組み


2024年から「技能実習制度」に代わる新しい制度として、育成就労制度が創設されました。
この制度は、これまでの「人材育成の名を借りた労働力確保」という批判を受けて、より透明で公正、そして本人のキャリア形成を重視した仕組みへと進化したものです。
外国人が日本で働きながらスキルを磨き、将来的には長期的な就労や転職も見据えられるようになった点が大きな特徴です。

育成就労の目的と背景

旧技能実習制度は、発展途上国の人材育成を目的として始まりましたが、実際には人手不足の補填としての側面が強く、転職の制限や権利保護の不十分さが国際的にも問題視されていました。
こうした反省を踏まえ、新制度では「人材の成長」を制度の中心に据えています。
つまり、外国人が単に労働力としてではなく、一人の職業人としてキャリアを築くことを支援する制度に生まれ変わったのです。

制度の仕組みとポイント

育成就労は、まず**「特定技能」への移行を見据えた段階的な就労制度**として設計されています。
受け入れ企業は、外国人が働きながら必要な知識・技能・日本語能力を身につけられるよう、計画的な教育体制を整備しなければなりません。
その上で、一定期間(原則3年間)を経た後には、本人が希望すれば他社への転職も可能となります。
これは、外国人が「よりよい職場環境」や「自分の専門性を活かせる職種」を自ら選択できるようにするための重要な改革です。

さらに、企業にとっても大きな変化があります。
これまで技能実習では、監理団体を通じた形式的な受入れが一般的でしたが、育成就労では企業自身がより責任を持って人材育成に関わることが求められます。
そのため、教育計画や生活支援体制の整備、ハラスメント防止、適正な労働条件の確保など、総合的なマネジメントが重要になります。

企業と外国人が「育つ」関係へ

この制度は、単なる在留資格の変更ではありません。
外国人労働者が安心して働ける環境を整備することは、結果的に企業の生産性や職場の安定にも直結します。
特に介護、建設、製造、宿泊、農業など人手不足が深刻な分野では、育成就労を通じて外国人が長く定着することが期待されています。

また、企業側も「外国人材=短期労働力」という発想を改め、将来の戦力として育てる姿勢が求められます。
語学支援やキャリア面談、生活相談の体制を整えることで、外国人が働きやすくなるだけでなく、日本人従業員との信頼関係も深まります。
結果として、国籍を問わず互いに学び合い、高め合う職場文化が生まれていくのです。

Alescoのサポート体制

当法人では、行政書士・税理士・社会保険労務士などの専門家が連携し、
「育成就労」制度を活用した外国人雇用を支援しています。
受入れ企業の制度理解から就労計画書の作成、入管手続、在留資格申請、さらには特定技能への移行支援まで、一貫して伴走いたします。

外国人を雇用する際の法的リスクや制度運用上の注意点についても丁寧にご説明し、企業が安心して制度を活用できるよう支援しています。
また、外国人本人に対しても、在留期間中の生活・学習・転職相談など、実際に「育つ」ための環境づくりをサポートしています。

まとめ

育成就労制度は、外国人にとっては「日本でキャリアを築く新しい道」であり、
企業にとっては「持続的な人材確保と成長」のチャンスです。
制度の趣旨を理解し、適正な運用を行うことで、国籍を越えた共生社会の実現に一歩近づくことができます。

アレスコ国際法務事務所では、今後も外国人材が安心して働き、日本社会の一員として成長できるよう、専門的な知識と現場感覚でサポートを続けてまいります。

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